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ネム(NEM)の概要
ネム(NEM)は、2014年にBitcoin TalkのフォーラムでUtopianFutureというユーザー名の人物により発案され、2015年から運用が開始されたプラットフォーム、及びプロジェクトの総称です。
既存のブロックチェーン(ビットコインなど)が抱える問題点を改善し、より公平で、よりエコな暗号通貨の基盤作りを目的としています。
証明方法にPoI(Proof of Importance)を採用し、PoW(Proof of Work)よりもエコロジーな仕組みになっている点、On-Chain Asset Modelingで複雑なプログラミングを知らなくてもスマートコントラクトを構築できる点が主な特徴です。
ネム(NEM)の基本情報
正式名称 | NEM(ネム) |
シンボル(通貨コード) | XEM(ゼム) |
現在価格 | |
最小単位 | 1μXem = 0.000001XEM |
発行上限枚数 | 8,999,999,999XEM |
承認方法 | PoI(Proof of Importance)※新規発行はありません |
考案者 | UtopianFuture |
管理/運営団体 | NEM.io Foundation Ltd(ネム財団) |
公式サイト | https://nem.io/ |
公式SNS |
ネム(NEM)とは?
ネムは、ビットコイン、イーサリアムと並んで有名な仮想通貨です。
ネム(NEM)という名称は一般的に仮想通貨の名前だと思われがちですが、正確にはNew Economy Movement(新しい経済運動)というプロジェクトの略称です。ネムプロジェクトのプラットフォーム上で使われる内部通貨のことをXEM(ゼム)と呼びます。このXEMが、取引される仮想通貨の名前ということになります。
プラットフォームとは環境や基盤といった意味で、例えばiPhoneにはsafariというインターネットを見るためのアプリがありますが、これはiPhoneというプラットフォーム上で動くアプリということになります。
日本では一般的にネムと呼ばれることが多いので、このページでは表記をネム(NEM)で統一して書いていきます。
ネム(NEM)の特徴
ネムもビットコインと同じくP2P型のネットワーク上で動いており、ブロックチェーンも持っています。このブロックチェーンはネム独自のブロックチェーンなので、ビットコインやイーサリアムのブロックチェーンとは別物です。
ネムの特徴は、ビットコインとイーサリアムと比べてみると分かりやすくなると思います。
ビットコインの詳細についてはこちらのページで紹介していますのでご覧ください。
ビットコインは、管理者不要・改ざんできない・止められない決済の仕組みを目的に作られたものです。
それに対しイーサリアムは、管理者不要・改ざんできない・止められないであらゆることを実現できる環境構築(プラットフォーム)を目的に作られています。
そして、ネムも管理者不要・改ざんできない・止められないであらゆることを実現できる環境構築(プラットフォーム)を目的に作られています。
ビットコインとネムの違いは目的ですね。ビットコインは決済の為に作られましたが、ネムはあらゆることができる環境づくり、つまり決済にも使えるし、その他の用途にも使えるということです。
ではイーサリアムとネムの違いは何か。2つとも似ていますが、大きな違いは「ネムのネットワークでは、独自のブロックチェーンをもつことができる」という点です。
ネムもイーサリアムもプラットフォーム上でトークン(独自通貨)を発行してスマートコントラクトを実行できますが、イーサリアムの場合はイーサリアムのブロックチェーンを利用しなければなりません。この点、ネムの場合はネムのブロックチェーンとは別に独自のブロックチェーンを持つことができます。これは企業や、組織がブロックチェーン技術を取り入れる際に有用なことです。
このことを言い換えれば、ネムはイーサリアムよりも、企業や組織で利用しやすい仕組みとも言えます。
実際にネムの技術と完全互換性があるmijinというブロックチェーンが、仮想通貨取引所Zaifを運営するテックビューロ株式会社によって作られています。mijinはすでにいくつかの金融機関や企業で実証実験が行われていて、2018年5月には大型アップデート(Catapult)の正式実装を控えています。このアップデートは完全互換性のあるネムにも実装される予定なので、さらなる進化が期待されています。
PoI(Proof of Importance)とは?
ネムの特徴としてまず挙げられるのがブロックの承認方法にProof of Importanceが採用されている点です。
ブロックの承認とは、簡単に言うと「仮想通貨のネットワークに参加する無数のコンピューターの中から、ブロックチェーン(台帳)に取引記録を追加するコンピュータを決める方法」のことです。
ブロックの承認に関してはこちらのページをご覧ください。
Proof of Importanceを手っ取り早く理解するするには、他の承認方法と比較してみるのがいいでしょう。
Proof of Work(PoW)
ビットコインやイーサリアムで採用されている承認方法で、高度な計算能力を必要とする暗号を解かせ、一番早く解読したコンピュータにブロックを追加する権利と報酬を与える仕組み。マイニング(Mining)と呼ばれている。
問題点
- 高度な計算能力を持つコンピュータを用意する資金と、それらを動かすための電力が必要になるためコスト、エネルギーが非常にかかる。
- 資金力のある者に承認作業の報酬が偏る。
- 資金と設備を持つマイナーによってネットワークが操作される可能性が少なからずある。
- 暗号を解く為に一定の時間が必要なため送金に時間がかかる。
Proof of Stake(PoS)
計算能力ではなく、コインの保有量もしくは、コインの保有量と保有期間によってブロックの追加と報酬を与えるコンピュータを決める承認方法。
計算力が必要ないので、PoWとは異なり電力(エネルギー)がほとんどかかりません。鋳造(minting)と呼ばれる。
問題点
- コインの保有量に応じてコンピュータが選ばれるので、大量にコインを保有できるものに報酬が偏る。
- コインを保有していないといけないので、通貨としての流動性を損なう(取引が活発に行われない)可能性がある。
Proof of Importance(PoI)
コインの保有量と取引頻度をもとにコンピュータの重要度(Importance)を設定し、その重要度に応じてブロックの追加と報酬を与えるコンピュータを決める承認方法。
計算力が必要ないので、PoWとは異なり電力(エネルギー)がほとんどかかりません。また、保有量だけでなく一定の取引量も必要になるため流動性を保つことができます。ハーベスティング(Harvesting)と呼ばれる。
問題点
- 一定量のコインを保有する必要があるので、一定量のコインを保有できる者に報酬が偏る可能性がある。
このようにネムが採用する承認方法Proof of ImportanceではPoWや、PoSのデメリットをすべてではないですが解決することができます。
問題点である報酬の偏りに関しては、取引量も関係してくるのでPoSほどではないだろうと考えられています。少なくともPoWで懸念されているエネルギーの消費と、マイナーによるネットワークの操作はないので公平でエコロジーな仕組みだと言えますね。
ネムスペースとモザイクとは?
ネムスペースを使うことで、ネムのプラットフォーム上で独自通貨を誰でも簡単に発行することができます。
ネムスペースは年間100XEMでレンタルして使用します。ネムスペースをレンタルすると独自通貨を発行できるようになります。
この独自通貨のことをモザイク(mosaic)と呼びます。
実はXEMもこのモザイクの一つです。NEMというスペースで発行されるモザイクがNEMということです。
ちなみにモザイクの発行は年間10XEMで行えます。
ネム(NEM)の今後
ネムにはカタパルト(Catapult)というコードネームの大型アップデートが控えています。
このバージョンアップによってNEMの
性能が良くなったり、新機能が追加されます。
バージョンアップによって変わるのは下記になります。
- プログラミング言語の変更:JAVAからC++に変わることでパフォーマンスの向上
- 取引承認スピードが上がる:トランザクション処理が2件/秒から、4000件/秒に大幅アップ。
- 新機能 Multi-Level Multisignature:「3人の署名が揃ったらコントラクト実行」とかのマルチシグが、「3人の署名グループ、6人の署名グループ、1人の署名グループ全部揃ったらコントラクト実行」というように3レイヤーまで構築できるようになる。
- 新機能 Aggregate Transaction:予め指定した条件にマッチすれば複数の取引が自動的に実行される。イーサリアムのスマートコントラクトのようなもの。
このカタパルトは、2018年3月にネムの技術を利用して作られたmijin上でベータ版が公開されました。mijinを開発するテックビューロ株式会社は、mijinへのカタパルト正式実装を2018年5月に行うと発表しています。
mijinとは?
mijinは、仮想通貨取引所Zaifを運営するテックビューロ社とNEMの開発者たちが一緒に開発しているNEMプロトコルを実装したプライベートブロックチェーンのことです。
下記2つの動画を見ていただくとmijinとカタパルトのことがイメージしやすいと思います。
NEMはパブリックブロックチェーン(誰でも参加できるネットワーク)で、非中央集権型。
それに対し、mijinはプライベートブロックチェーン(管理されている端末のみ参加できるネットワーク)で、中央集権型。
簡単にまとめると、企業内や企業間でブロックチェーンの仕組みをより安全に導入できるように、管理されたネットワーク上に限定して構築できるようにしたシステムということです。
そして、mijinとNEMは共通のAPI(機能を呼び出すもの)と仕様なので互換性があり、mijinのネットワークとNEMのネットワークを接続することもできます。
mijinとNEMの関係
先にも書いたようにmijinとNEMは互換性があるので、片方で開発されたものはもう片方に適用することができます。
つまり、先にカタパルトでアップデートされたmijinでの性能や、新機能はNEMにも実装することができます。
引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000085.000012906.html
mijinからNEMはもちろんのこと、NEMからmijinへの実装も可す。
今回の場合、mijinで開発されたものがNEMに実装されるということになります。
ネムへのカタパルト実装がいつになのかはまだ発表されていませんが、2018年中には何かしらのアナウンスがあると思われます。
またネムへのカタパルトが実装されると、これまで何ができるのか分かりづらいと思われていたネムの有用性が具体化し、注目が高まると予想されています。
ネム(XEM)を買うのにおすすめな取引所は?
国内の取引所でネムを買えるのはZaifのみです。